AM 4:30
目覚まし時計の痛い爆音で目を覚ます。
昨夜の睡眠時間はたった3時間……トホホ。今日の仕事で行く箱根について、勉強していたのです。
何度行ってもドキドキ……。まだ眠いし自信もない。でも今日一日頑張りま〜す。
AM 5:30
会社到着。まず点呼をすませ、忘れ物がないか確認!
エチケット袋やゴミ袋、コップ、お茶……、1つでも忘れてはいけません。お客様の快適な旅に欠かせない必需品なのですから。
AM 6:00
出発の準備が終わり、出庫。
配車場所へに向います。配車場所に着く迄のわずかな休息。まだ薄暗い中もう一度資料に目を通す。
今日のお客様はどんな方達なんだろう? 配車場所に近づくにつれて、緊張がつのってきます。
今日のお客様は、会社の親睦旅行で30名様の団体。
回送中は、さらにドライバーさんとコースの打合せをします。
AM 6:40
配車場所に到着。意気揚々としたお客様が、すでにお待ちになっています。
“おはようございます”
私たちバスガイドは、第一声が一番大事!! トビッキリの笑顔でお迎えします。
AM 7:30
お客様が全員集合。もう一度人数を確認して、一路箱根へと出発〜!!
バスの中でお客様に改めてご挨拶。本日のコース、乗務員の紹介と、あっそうそう、忘れてはいけません。安全の為の注意事項も必ずここで。
さて、バスは東京を離れ東名高速へ。
最初の休憩所、海老名のSAまでは、少し時間があるので、温かいお茶を入れます。熱いですから気をつけて!!
多摩川を渡って、東京ともお別れ、いよいよ神奈川県です。そしてメロンパンの香りただよう海老名SAに到着です。ここはメロンパンが美味しいんですよ。休憩の時間は15分です。
お客様の下車と安全確認・お手洗いをご案内して私もお手洗いすませて、さて私もメロンパンを……というわけにはいきません。ポットのお水を補給しなくては。やっと全部終了。今度こそはメロンパンと思っていたら、あーという間に15分。
お客様の人数確認して出発でーす。
海老名SAを後にして厚木ICでバスは東名高速を下り、小田原厚木道路へ。
この辺りから丹沢の山々をはじめとして、山が近くに見えてきます。
小田原厚木道路を走ると、あっという間に小田原です。
小田原と言えば、相模湾で捕れた美味しい白身魚の蒲鉾、梅干、それと市民の憩い場・小田原城址公園と小田原城が有名ですね。まずは名物蒲鉾で知られる“鈴廣”で休憩。
「名物蒲鉾、召し上がって頂けたでしょうか?」
AM 9:30
お客様の人数確認して出発です。
これから向かう箱根は、湯本温泉から始まり、幾つかの温泉が並んでいます。
小田急・ロマンスカーを横目に湯本温泉街を抜け、正月の箱根駅伝のコースである国道1号線を進んでいきます。
“.箱根八里は馬でも越すが……”と詠われた旧東海道は、温泉街の左奥、通る道も変わってしまいましたが、昔も今も、上り下りの旅人で賑わっている箱根、たっぷりとお楽しみ下さい。
バスは、日本三大ホテルの1つである富士屋ホテル、紫陽花列車で知られる箱根登山鉄道、大文字焼きの行われる明神ヶ岳を見ながら、箱根彫刻森の美術館・ベコニア園・2001年1月にオープンしたばかりのユネッサ、そして芦ノ湖の湖畔を走りながら、桃源台へと向かいます。
紫陽花のシーズンともなると、湯本温泉から箱根登山鉄道に乗り次いで紫陽花を楽しみながら強羅まで行き、ケーブルで早雲山へ、そこからロープウェイで大涌谷の火山活動のなごりを見ながら桃源台。すばらしい箱根の全景も満喫できます。
まもなく桃源台に到着です。桃源台からは二種類の遊覧船があり、海賊船のビクトリア号も人気でありますが、本日は双胴船で船の旅を楽しんでいただきます。もちろん双胴船からの景観もすばらしいです。バスは回送になり、箱根の関所でお客様をお待ちしております(私も行きたいで〜す)。30分〜40分の船旅です。いってらっしゃいませ。
回送中は、ほっと一息。ず〜と立っていたので、足がいた〜い、なんて暇もなく、台本に目を通す。
あっという間に関所へ到着です。バス旗をもって、手袋をして、帽子をかぶり直して鏡を見てOK!!
下車案内いってきま〜す。
満面の笑みで、お客様お帰りなさい。それでは関所へとご案内いたします。
やはり箱根の歴史的名所といえば関所です。昔は“入り鉄砲と出女”、つまり豊臣方の残党と外様大名の奥方の取り調べは、とくに厳しかったといわれます。その時代の様子を見学しましょう。
関所を見学した後は昼食場所の元箱根へ向かいます。船の旅・関所の感想聞く間もなく、旧東海道の杉並木を見ながら箱根神社の鳥居をくぐると到着です。
今日の昼食は“湖畔亭”。まさに芦ノ湖畔での昼食です。芦ノ湖を見つつ食べる食事は“雲助汁とワカサギ料理”。雲助汁はあっと驚く大きな器に入った味噌ベースの具だくさん汁。そしてワカサギは、芦ノ湖の捕れたてのワカサギを天婦羅にしています。たくさん召し上がってください。
お客様を食事場所にご案内してバスに戻り、車内の清掃。昼食をすませたお客様に、また気持ちよく乗車してもらいま〜す。
お腹すいたよう!! 朝から何も食べていなかった。少し早く起きると朝食が食べられるけど、眠くて起きられない。私たちガイドは、清掃を済ませてから、ドライバーさんと食事をして出発です。
さあ、午後の仕事開始。お客様の人数確認して、湖畔亭を後にしてこれより御殿場プレミアム・アウトレットへ向かいます。芦ノ湖にお別れしながら、お客様はお腹いっぱいで一眠り。この辺りで旅の疲れが出てきます。お休みなさい。お客様がお休みの間も、バスはカーブしながら走ります。棚の上の荷物に気を配りながらバスは安全運転で走行中。
ススキの仙石原、湿生花園・、石原温泉、金時山、乙女峠から静岡県に入ります。乙女峠からの富士山の眺め、これも見所ターップリ。でもお客様は……。
おはようございます。お客様の爆笑。目がさめていたお客様、眠い目をこすりながら大きなあくびをしているお客様。みーつけた。
お休みの間に御殿場市に入り間もなく“アウトレット”に到着です。2時間のお買い物時間です。75軒ほどのブランドショップがありますので、時間に遅れないように戻ってくださいね。
AM 16:30
アウトレットの入口をご案内して、私も初めてだからいってきま〜す。私も大きな袋“3つ”も抱えて出発20分前にバスへ。これも次回のお客様のための勉強です。
おかえりなさい。でも、まだ何人かは戻られていないのです。“たいへ〜ん。あまり遅くなると首都高速が渋滞して帰着予定より遅くなってしまう。遠くまで帰るお客様いるんじゃないかなあ”。走ってお客様を探しに行って、無事そろいました。予定の20分遅れです。
もう一度お客様の人数確認して、御殿場ICへ向かいます。
東名高速に入り、一路東京へ。もう一度棚の上の荷物とシートベルトの確認します。高速道路ではスピードを上げて走りま〜す。そろそろ疲れがドット出る頃。ここでお茶でもいかがですか?フゥ〜、30名様からだと30分近くかかってしまいます。最後のお客様、お待たせいたしました。
さて、そうこうしているうちに海老名SAに到着です。必ずお手洗いへ。この先は渋滞も考えられますからネ。車に十分気をつけて。最後の休憩、事故がないように!!
最後のお客様乗車確認、人数ももう一度確認して出発です。もう少しの間、ビデオでお楽しみ下さい。もちろんお題は“カトチャンケンチャンTV”です。(そろそろ私も眠くなります。でも目をこすりつつ……)みんな大爆笑のうずの中。首都高速に入りまして、そろそろお別れの時間も近いようです。
最後の緊張の一瞬、気持ちを引き締めてバスの中央に立ちます。
“お客様、今回のご旅行はいかがでしたか?”。
旅の安全のご協力のお礼と、またの再会を祈りながら、お別れの挨拶を終えます。一人一人のお客様に丁寧に最後のお別れを。乗降入口でお見送り。
お客様が笑顔で帰る姿がとっても嬉しぃ!!!!!!
別れの悲しみを振り切って、最後のお客様が下車された後、棚の上、網袋、足元と点検。忘れ物の確認をしていきます。思い出は忘れてほしくないけど、バスに忘れ物はしないでネー。もう一度見送ってくれるお客様に挨拶をして、車庫へと向かいます。
回送残るはバスのお掃除でーす。ゴミを集めて、灰皿をきれいにして、窓を拭いて、床をはいて、モップかけて、汚れているところはきれいに。明日のお客様が気持ちよく旅が出来るように願いをこめて。そして全部が終わり点呼室に戻り、高速料金などの精算をして終了です。中は、ドライバーさんと一日を振り返り、反省会を行います。
車庫に入庫してバスのバック誘導をすませて到着。お疲れ様でした。
今日一日無事に乗務が終わり、ドライバーさんと交わす本当の“お疲れさま”です。
PM 21:00
あわただしい一日がこのように過ぎていきます。
明日になればまた、新しいお客様との出会いが待っています。出会いと別れの繰り返しの中、お客様の笑顔に支えられ頑張っています。明日もまた新しい出会いが始まりまーす。
けっこうお客様の見えないところで働いていることも多いんです。
ガイドさんて、思ったより大変なんですよ(笑)
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